その気持ちに名前を付けるなら(少年期サボル)

2014.10.09 Thursday

0

    ルフィとの探索中、偶然見つけた野苺の群生地。
    はしゃぐルフィの横顔を見ていたら、いつの間にか裾を引き「この場所はおれたち二人だけの秘密な」なんて口にしていた。言葉にしてから改めて戸惑う。…なに言ってんだおれは。三人で食べる食料を探していた筈なのに。何でエースには秘密なんだ?

    ぐるぐると色々な思いが頭を巡っては消えていく。そんなおれの思考は「おう!いいぞっ」と言う弾む声と、突進するような勢いでしがみついてくるルフィによって遮られた。
    突如腹に当たる衝撃に「ぶほっ!」と情けない声を上げてよろめく体を、すんでのところで踏ん張って支えた。

    「こら、ルフィ…」
    注意しようと未だしがみつく弟を見れば、頬を赤らめて嬉しそうにおれを見上げてくる。きらきらと輝く瞳とまともに視線がかち合った。

    途端に、またおれの中で得体の知れない何かが弾ける。なにかが変わってしまう。そう思ったのは一瞬で、衝動的に体が動いた。

    「ししし、サボとおれだけのヒミツ〜!」
    「…ああ。秘密、だな」

    小さな弟の体を、感情に任せて抱き締めた。苦しそうにしながらも、笑っておれの背中に回してくる小さな手が愛おしい。

    こんなちっぽけな二人だけの秘密をルフィと共有できる。ただそれだけでおれは、こんなにも幸せな気持ちになれるんだ。
    心の隅っこでごめんな、エースと呟いたけど、何に対する謝罪なのかは自分でもわからなかった。



    何を思ったか突然のSS(笑)少年が大人になる瞬間なサボル。兄弟愛よりももっと大きくて、もっと不確かな感情に翻弄されるサボが書きたかった…。