あまどさんとのリレー企画!その2

2017.04.18 Tuesday

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    おこんばんわぁー!しいたくでっす!

    密かに(?)続けていたあまどさんとの漫画→小説リレー企画の第二弾が完成したのでお届け!

    今回は「お互い長男と付き合ってると思い込んでる数字→おそ」でGo!

    ではどうぞー!!(*´∀`*)

     

     

     

     

    「どっちでも良い……?」

      低い声音をより一層低く凄ませ、一松がゆっくりと振り向いた。同時に振り向いた十四松の目元もジトリと座り、開けっ広げな口元が袖に覆われている。
      不穏な空気を漂わせる二人だが、既にアルコールが入っているおそ松はのうのうと待機したままだった。

    「どっちでもは駄目だよ〜、おそ松兄さぁん」

      まるでチンピラが一般人に絡み付くかのように、十四松がおそ松の肩を抱き寄せ、妖しく微笑む。

    「せやでー、兄さぁん」

      便乗に見せ掛けた対抗心を燃やし、一松が十四松の腕を払いのけ自らの手をおそ松の肩に置いた。
      左右に挟まれたおそ松は未だ現状を理解出来ていないのか、酔いも手伝い楽しそうにクスクス笑う。

    「まぁ?クズでニートで童貞で尚且つ欲張りな兄さんの事ですから?どっちも欲しい!って気持ちは分からないでもないような気がしないでもないですけど?」

      その態度に呆れながらも小さくため息をつき、一松は普段よりもゆったりとした話し方でおそ松を責め立てた。

    「え、えっ、それってどっち?」

      遠回し過ぎる表現に、変わらずおそ松はケラケラと笑いながら聞き返す。

    「理解力の乏しい兄さん可愛くなくなくなーい?」
    「可愛くなくなくなくなくなーい?」

      兄同士が楽しげに会話する姿が面白くなく、透かさず十四松が口を挟んだ。だが負けじと一松も応戦し、水面下の戦況が激化していく。

    「おーいー!二人だけで仲良くすんなよー!お兄ちゃん寂しくて心臓がキュッてするだろー」

      目元が全く笑っていない二人に気付かぬまま、おそ松は不満げに表情を歪める。

    「で、十四松」

      えっ。と寂しげな反応を溢すおそ松を無視し、一松は目つきを更に鋭くさせながら十四松を呼んだ。

    「本当の所……お前、いつから兄さんとそういう関係になったんだ。……あ?答えように寄っちゃあ、折るぞ。……クソ松のグラサンを」

      本題に土足で足を捩じ込み、筋者顔負けの凶悪的な面持ちで睨み付ける。

    「アハー。それってわざわざ教えてあげなくちゃいけない事かなぁ?ぶっちゃけ一松兄さんには関係ナッシーング!」

      対して十四松は含みのある笑みを浮かべ、するりとおそ松の腰に腕を絡ませた。

    「兄さんこそ三ヶ月目って本当?答えように寄っては、俺も本気出しちゃうからね。……朝の走り込み」

      ん?とあくまでも口元の笑みを絶やさず、睨み付ける。バチバチと火花が見えそうな間に立ちながらも、おそ松はなお頬を緩ませながら呟いた。

    「何の話してっか全然分かんねーけど、俺達の関係っつったらアレだろ?産まれる前からじゃあん」

      上機嫌に鼻歌を歌い出し、手元の缶ビールを一気に飲み干す。空になった缶を卓袱台に置き、どちらが連れて行ってくれるんだ。と両手の甲に顎を乗せ、ゆっくりと瞬きをした。
      問われた当の二人はと言えば、おそ松の発言を良い方に捉え、悶えるようにして顔を両手で覆っている。

    「産まれる前からってそんな……!前世からか!?前世から俺達はそういう関係だったのか…!やっぱり、鶴の恩返しは前世の俺達の記憶だったんだ…!」

      ごろごろと転がり、嬉し恥ずかしいと騒ぐ一松同様、十四松もスーパーボールが跳ね回るよう、縦横無尽に室内を飛び回る。

    「ウッヒャー!!産まれる前から!!産まれる前から俺達、相思相アインナーマッスルゥウウ!!ウオォオオ!」

      鉛玉が当たったかのように室内が荒れるなか、元気だなぁと心穏やかにおそ松は二人を見守っていた。

     

     

     

     

     

     

     

     薄手のビニール手袋を装着し、迫る二人におそ松の喉がヒュッと悲鳴をあげる。助けを呼ぼうにも思い当たる人物達は既に出払い、今現在頼れる者は己のみという事実に、腹だけではなく頭も痛くなる思いであった。
      どうしてこうなってしまったのだろうか。良い気分でぐうたらと酒を飲んでいた所までははっきりと覚えている。それから十四松が現れ、気付けば話の方向性が大変危険な区域に達していたという現状だ。
      考えれば考える程、焦りとはまた違う油にも似た汗が浮き出る。

    「っだあもう、お前らシット! お座り!」

      半ば叫ぶような声が部屋中に響いた。
      苦し紛れに浮かんだ言葉はまるで犬を躾るかのようであったが、おそ松は気にせず言葉通りに床を指差す。表情を歪め、息も切れ切れになる兄に対し二人は驚きに目を見開くと、素早く膝を折り曲げ、姿勢正しく座りこんだ。
     
      「ステイ!  いいな?  そこで、じっとしてろ」

      痛む腹を抑えつつ、単語ごとに強調しながら空中を突く。
      早着替えが代名詞のような十四松はいつの間にか犬の着ぐるみを纏い、一松は上半身の衣類さえも脱ぎ去っている。ボケにボケを重ねてくるような二人に振り回され、急激な疲労感に襲われながらもおそ松は目的地へと去っていった。

    「さっすがおそ松兄さんやでぇ……。既に子を守る母の力強さを備えとる!」

      十四松が瞳を煌めかせ、元気良く頷きながら犬の遠吠えが幻聴として背後から響く。

    「ヒヒッ……旦那を調教するなんて……いいぞぉ」

      ブリーフ一丁で呼吸を荒くする一松は、恍惚な表情で身を震わせていた。

    「ただいまぁ……って、何やってんのお前ら」

      全体重を掛けた足は廊下の板を軋ませ、家人に来訪者を告げる。開いたままの襖を潜り、チョロ松は目の前の光景に酷く顔を歪ませた。
      また何かしらの怪しいお遊びでも始めたのだろうか。外の世界ですら通報されてもおかしくない行動をとる二人に、呆れたように深いため息を吐く。

    「産婦人科に行った、おそ松兄さんを待ってんの!」
    「はぁ?」

      十四松の奇天烈な発言に、チョロ松は器用に片眉を上げる。
     
    「俺の子が産まれるんだ」

      はにかみながら一松は妻(仮)の癖を真似、鼻の下を軽く擦った。脳内を疑問符で埋め尽くすチョロ松を余所に、互いに俺の子だと一歩も譲らない二人は律儀に兄の言い付けを守り、姿勢を崩さず口頭だけで罵りあう。
      付き合うだけ無駄か。そう心の中で呟きながら素通りし、チョロ松は机上に冊子を広げ胡座をかいた。

    「……あれ?  でも確か靴はあったなぁ……」

      人数に対して一足多い事を思い出し、チョロ松は首を傾げる。しかしそれさえも己にとってはどうでも良く、直ぐにまた求人誌へと目を通した。

    「はー、すっきりしたぁ」

      晴れやかな表情を浮かべ、おそ松がお腹を擦りながら部屋へと戻る。宝石のように瞳を輝かせた十四松と、屈みつつあった背を伸ばし、期待に満ちた目を向ける一松が出迎えた。
      チョロ松はおそ松の存在を見留め、視線を元に戻す。

    「で、どうだった?!」

      答えが待ちきれないとでも言いたげに膝を叩き、十四松が急かす。

    「へ?」
    「どっちだったかって聞いてんだよ」

      一松も膝の上で手のひらを握り締め、おそ松に迫る。

    「ど、どっちって……え?言わなきゃ駄目なの?」

      何のプレイだよ。とおそ松が表情を歪ませるが、真剣な眼差しの二人に後退る。

    「産婦人科行ってきたんでしょ?」

      数少ない情報源を、チョロ松が辿る。

    「あらチョロちゃん。……て何で俺が産婦人科行かなきゃなんねぇんだよ。普通にトイレだわ」

      半笑いにおそ松が答えると、正座をしていた二人が驚きの声を上げ、勢い良く立ち上がった。驚愕に口を戦慄かせ、絶望色に染まった瞳が細かく震えている。
      先程とは打って変わった様子におそ松が疑問符を浮かべると、二人は弾かれるようにトイレへと駆け込んでしまった。
      瞬く間に姿を消した弟達を見届け、首を捻りながら室内へと足を踏み入れる。だがまたしても騒がしい泣き声と悲鳴が響き、驚きにおそ松とチョロ松は声の発信源の元へと焦るように向かった。
      どうやら咽び泣く声は十四松のものだったらしい。おそ松の目に飛び込んできたものは、尻餅をつき両手で顔を覆う十四松と、便座に手をつく一松の後ろ姿があった。
      異様な雰囲気に、おそ松も声を掛けるのを躊躇する。だがそんな空気をものともせず、チョロ松が兄に変わり声を掛けた。

    「何してんの」

      沈みきった悲しみの空気に対し、平淡な声音はあまりにも不釣り合いに浮いて聞こえる。
      兎のように目元を赤く染めた十四松が振り向き、おそ松を目に移すとボロボロと大粒の涙を再度流し始めた。

    「っ……兄さん……居ないよぉ……。何処にも居ないぃ……」

      おそ松の足へと縋り、現実を受け入れられないと十四松が顔を左右に振る。

    「え、……え?  あ〜……いや、だってぇ普通流すだろ」

      汚ねぇじゃん。とこぼすが、その言葉に一松が勢いよく振り向く。ふらつく足取りで歩み寄り、便座に触れた手でおそ松の両腕を鷲掴んだ。

    「何が汚ねぇんだよ!?  俺がゴミだからか!?それでも、……っ……それでもあんまりだよぉ……兄さん……」

      歯を食い縛らせ、嗚咽をもらしながら一松が鼻を啜る。
      単にトイレを済ませただけだというのにも拘わらず、何故自分が責められなければならいのだろうか。腰へとしがみ付く十四松と、肩へ顔を埋める一松の頭をなでながら、おそ松は途方に暮れる。
      最後の望みとばかりにチョロ松へ顔を向けるが、哀れみを通り越した、最早ゴミを見るような目で見つめ返されてしまった。
      誰でも良いから助けてくれ。おそ松の心の叫びは、清々しい青空へと消えていった。
     
    END

     

     

     

    二回目にものすごいムチャブリしたにも関わらず、いちいち小ネタを拾ってくれたり(四男のパンツのくだりとか五男のわんこぐるみの所とか)全て(文字通り)水に流して綺麗にまとめてくれたりと本当に楽しかったです!オチに一人で爆笑しました(笑)

    あーちゃん、本当にありがとうー!!